how-to
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冬季の作業 幹洗い
盆栽には年間を通してさまざまな作業がありますが、冬に行う作業の一つに「幹洗い」というものがあります。
その名の通り、盆栽の幹をきれいに洗うことです。
盆栽は基本的に屋外で管理していく為、雨や埃などで汚れたり、苔がむしてきたり、害虫の卵や菌が付着している場合もあるので、それを洗い取ります。
苔などは盆栽によっては風情に感じる場合もありますが、基本作業としてなるべく洗うことをお勧めします。
※松の古木などは除きます。
幹洗いをする事で病害虫予防になり、根張りの確認もできます。
春に植え替え予定の樹は必ず行いたいです。この幹洗いという作業を行うか行わないかで、製作者の盆栽への意識が伝わってくる気がしています。美しいものを作ろうとしっかりと人の意識が入った盆栽は醸し出す緊張感があります。
方法は大きい樹や数が多い場合は高圧噴霧器(弱)で洗います。
枝はなかなか折れませんが、芽が飛ぶことがあるので高圧では注意が必要です。
中品、小品サイズで数が少なければ、歯ブラシで洗うだけでも十分汚れを落とせます。

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寒樹 モミジ盆栽の落葉
盆栽の用語で雑木の落葉した姿を「寒樹」と呼びます。
雑木盆栽は葉の展開している時期に注目されがちですが、盆栽ではこの落葉した状態を最も重視して枝を作り込んでいきます。
葉の生命力や紅葉の色彩というものを取り除いた、骨格のようなモノですね。
その樹のありのままの姿が寒樹という訳です。盆栽の展覧会が冬に開催されているのは、松の一番の鑑賞期という事もありますが、雑木盆栽の寒樹の時期でもあるからです。

このヤマモミジは五年程作り込んでいますが、やっと大まかな骨格が出来たところです。
今後、さらに細かい枝を増やし、細部の針金掛けをしていきます。一本一本の枝を剪定と針金掛けで整姿し、数年間、芽切りや葉刈りを繰り返します。
この盆栽は寒樹を前提に樹作りをしているので、葉が展開している時期は葉に覆われた感じになりますが、細かい枝を作る為には仕方がありません。
葉物盆栽を作るときは寒樹として鑑賞する盆栽を作るのか、葉を鑑賞する盆栽を作るのかを考えておく必要があります。
葉を楽しむ場合はこれほど細かく枝を作る必要はありませんので、大らかな樹作りとなります。
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紅葉のメカニズム

モミジが次々と紅葉している。
綺麗だなぁ
今日は紅葉について少し。
紅葉とはそもそもどういった原理で起こっているのか?についてです。
まず、植物の葉にはクロロフィル(葉緑素)と呼ばれる緑の色素と、カロチノイドと呼ばれる黄色の色素があります。葉緑素は光合成作用を行うのに必要な色素です。
カロチノイドより葉緑素の量が多い為、葉は緑色に見えています。
秋になり気温が下がり、日照時間が少なくなるに従って、光合成作用の効率が悪くなります。
落葉樹はこの時期に葉を落とすための準備を始めます。まず葉緑素の分解が始まります。
さらに葉の付け根(枝と葉の接点)に離層にという壁が作られます。離層によって葉に残っていた葉緑素が作った糖などが堰き止められ、それが赤い色素を持つアントシアニンへと生合成されます。
紅葉の赤色はアントシアニンの色素の色です。
これが葉が赤くなる紅葉の原理です。(すごく簡単な説明ですが)
イチョウなどの黄葉は、葉緑素が分解された事で、緑色に隠れていた黄色い色素を持つカロチノイドが表面へ現れる為です。(イチョウなどはアントシアニンが出来ない)
紅葉を綺麗にさせるための条件として良く言われているのは、
1.最低気温の低さ8~5℃以下
2.昼夜の温度差が大きい 日中20℃以上で夜間8~5℃以下
3.日当たりが良い事
4.空気中に適度な湿度があること
すべてアントシアニンの合成に必要な条件という訳です。
ちなみにアントシアニンといえばブルーベリーですが、あの青色もアントシアニンの色素です。pHなどの影響で赤や紫、青といった色幅を持ちます。
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石化とは
植物には石化という現象があります。(似たもので帯化という現象もあります)
茎や枝の成長点で異常が生じることで現れる奇形の一種です。
葉が堅く密集して付くのが特徴で、草花や多肉植物などでも良く見られます。
厳密には違いますが、八ッ房性と似ていますね。これは盆栽でもたまに見かけます。

石化ヒノキです。
石化性は葉が小さく、成長も遅いのでミニ盆栽には仕立て易い樹種です。
石化ヒノキの葉

通常のヒノキの葉
盆栽では樹形を作り込む事に重点がおかれますので、通常のヒノキを好む傾向があり、園芸の世界では石化などの奇形植物は貴重なものとして珍重される傾向があります。
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盆栽の用土の構造について
盆栽でも園芸でも農業でも土作りが最も重要です。
植物にとって土とはなんでしょうか?
簡単に言ってしまえば、大地そのものです。
土の最も重要な役割は植物を支える事です。
土は大小さまざまな粒子の集合体で出来ています。
その為、大きい粒子と小さい粒子が集まる際に隙間が生まれる訳ですが、その隙間が非常に重要な意味を持っています。
隙間がある事によって、土に空気と水、肥料を保つ事ができます。
そして、空気や水を求めて根が伸びてくるのです。
この大小の粒子によって生まれる隙間がある状態を団粒構造と呼びます。
鉢植えでは非常に大切な事です。
この団粒構造を作る為に、鉢の用土は鉢底石、中粒、小粒、極小粒などを使い分けます。
さらに、使用する時は必ずフルイにかけて微塵を取り除く必要があります。
これはせっかくできた団粒構造の隙間に微塵が溜まり、空気の入れ替えや水はけが悪くなるのを防ぐ為です。しかし、同じ鉢で長い期間持ち込んでいると、毎日の水やりや伸びる根に潰される事によって、この団粒構造が崩れてしまいます。
その結果、水が浸透しなかったり、水はけが悪くなったり、根腐れの原因となります。地植えなどでは腐葉土を混ぜる事によって改良できるのですが、盆栽では話が違います。
盆栽の場合は植え替えをします。
土を入れ替える必要があります。
※植え替えの一番の目的は根の伸びるスペースを作る為なので、根詰まりした時に一緒に土を変えるのが一般的です。
※盆栽では根張りを作る為や角度の調整や鉢変えなど見た目の為に植え替えする事もあります。
そもそも盆栽の用土は非常に水はけを良くする必要がありますので、土は固めの物を使います。
盆栽の主要な用土は硬質の赤玉土や鹿沼土です。
さらに、松柏類では水はけを良くする為に砂を使う事もあります。ただし、砂を使うときは必ず角ばったものでなければいけません。
砂なら何でも水はけが良くなる訳ではありませんの注意が必要です。
熱帯魚用に市販されている砂などは、非常に硬質で水や空気を含みにくく、さらに粒子が丸い為、団粒構造になり難く不向きです。(化粧砂には使えます)盆栽用や山野草用で市販されている物なら大体大丈夫ですが、桐生砂や富士砂、一部の川砂など角があり、多孔質なものが良いです。
それから一番大切な事は、ご自身の環境にあった用土の配合を見つける事です。
本の内容は参考にはなりますが、気候も日照条件も水やりの頻度も違う訳ですから、自分自身がまとめて管理し易い配合を頑張って見つけて下さい。ちなみに私は、硬質赤玉土と桐生砂、富士砂しか使っていません。
植物の種類によって鹿沼土や腐葉土や竹炭などを混ぜる場合もありますが稀です。乾きの調整は粒子のサイズと鉢の種類によっても変わるので、用土はできるだけシンプルにするのが良いと思います。排水性と保水性があれば。