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赤松 針金掛け
盆栽はなんと言っても「つくる」楽しさが、
沢山の愛好家や盆栽家を虜にしている魅力ではないでしょうか。剪定や鉢合わせ、飾りなど色々と大切な要素はありますが、
中でも目に見えて樹が変化する針金掛けは非常に楽しい作業です。この赤松はガレた状態のものを昨年の春に植え替えして養生していたものです。
芽がだいぶ大きくなって来ましたので、針金掛けに耐えると判断し、整姿し直しました。
一応、正面は決めていますが、どの方向から見ても鑑賞できるようにしています。
全ての樹がそう出来る訳ではありませんが、飾る空間によっては裏から見る事も考えられるので、大切なチェックポイントです。
盆栽は床の間に飾りますが、壁にくっつけたり、固定したりするものでは無いので裏と表で仕事に差があるなんて事は全くないものです。
どんな業界でもそうですが、細部にどれだけこだわりと愛情を持って没頭できるかが良し悪しの分かれ目だと思います。
裏にも美学ってもんがありますね。やっぱり。
昨年は養生中だった為、芽切りを行わなかったので葉がかなり長くなってしまいましたが、
その分しっかりと芽が大きくなり今年はバッチリ芽切りが出来そうです。予定通り行けば、年末には少しは飾れる盆栽になりそうです。
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冬の葉
今日は一日盆栽の幹を洗っていた。
動力噴霧器が欲しい…
幹洗いのポイントは何といっても根張りの確認。
一年も経つとコケに覆われる盆栽も少なくないから、株元の苔は全て撤去する。
コケが好きな私には勿体ない気持ちが強いけど、ここは我慢。
あくまでも盆栽を第一に考えてすべての作業をしていかないとね。
冬の間に石灰硫黄合剤を塗る場合も幹を洗っておいた方が、白が綺麗に見えます。
濁りが無い、澄んだ落ち着いた白さになります。
もう松柏類以外はほどんど落葉しているけど、こんなのもある。
枯れ葉の良さってなんだろう。
役目を終えてもまだ芽を保護しているんだよな。
ヤマコウバシならではの美しさです。
盆栽をつくるという事は、自然を人間の側に引き寄せる事になると思う。
何もしなくても美しいものに手を加える行為は、ものすごい責任と覚悟が必要なんだと常に考えて仕事をいているけど、なにげなく眺める植物の表情にドキッとしてしまう。
まったく追い付いていない気がするけど、まだまだ良くできると思うとワクワクもする。
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盆栽の仕事
現在、八百日の仕事は、伝統盆栽の創作よりもミニ盆栽や苔玉を含めた小品盆栽が大半。
特別なオーダーというのもまったく無いわけでは無いけど、季節のもの、すでにある組み合わせをベースにお客さんサイズに変更する、セミオーダーが多い。
今はインテリアとして植物を飾る事が普通の事になっているから、植物の提案などの問い合わせもあります。言ってしまえばグリーンコーディネイトですね。
盆栽は観葉植物のように室内に置き続けることはできないから、盆栽だけで空間を維持するのはちょっと大変。何種類かでのローテーションが基本の考え方になる。あとはシダ類や熱帯植物を上手く合わせていく事になる。本格盆栽の良さを知っている分、もっと伝えたい欲求は強いけど、これからかな。
盆栽は他の植物に比べて価格が高いものが多いけど、何十年も人から人へと引き継がれて来た、時間と技術を思うと納得もできるし、もっと色々な方に盆栽になるまでの経過を知って頂きたいと思う。
だからと言って「盆栽は高いものだから」、それだけで終わってしまうものを作った場合、お客さんに不誠実だし、次はまず期待できないと思う、それだけにいろんな情報を自分なりに整理し、時代にあった盆栽を提案しなければいけないと考えています。
たとえ数年間放置された古木や苗木でも年数が経っているものは良いものであると思う。でも、その素材だけに頼り過ぎてはだめで、いい素材だから、枝の配置や数、角度や向き、鉢合わせをより大切にしなくては、高価で貴重な樹をムダにしかねない。
盆栽をつくるからには選んだ素材の特徴を理解した上での、生育と見た目のよい物でなくてはいけないから、それは大変な責任を伴う作業でもある。
盆栽は人と時間を美しく刻んでいける物ならば言う事なし。
私はそんな風に盆栽を受け入れてくれる時代がすでに来ていると信じている。
だからこそ、この仕事をやっていけるのかもしれない。
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冬白
秋明菊の綿毛
霜ばしら
ガマの穂綿
白にも色々。
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絵のように
新年です。
今年はどんな一年になるのかな。
今までいろいろな仕事をしてきて、今は盆栽に辿り着いたというか巡り合えた事に感謝している。
もともと手を動かして何かを創り上げていく事が好きで、今はそれが仕事に出来ている。
いつも趣味は仕事の延長というか、趣味として割り切れない所があり、盆栽も始めから仕事として携わっている。
本気でやる事で、夢中になって、楽しくなって、それがそのまま創る盆栽に反映していると思う。
盆栽をつくる時に思っている事は、盆栽が放つ空気感に気づく事。
それはいろいろな要素の集合体で、環境や携わる人、時代などのなかでどうすることがベストなのかと問う事で少しずつ見えてくる事かもしれない。
それでもプロとしてそのあたりは大切にして行きたいと思う。
今年の終わりに語る事が多い一年にしよう。