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盆栽の置き場
「盆栽が欲しいけど、置き場所がない」とよく耳にします。
たしかに...そう思います。
マンション暮らしなどでは置ける場所は限られていますから、ベランダなどに置くしかありません。
そもそも盆栽はどのような環境下に置くのが良いのでしょうか。
まず適度な日照と通風がある事が絶対条件です。
また、棚の上などに置けると良いです。
なぜ棚の上の方が良いかといいますと、地面に直接置いていまうと水やりの際に泥が跳ねて鉢が汚れたり、菌が付着したり、害虫も入りやすい為です。また、地面がコンクリートの場合は照り返しや熱も緩和できます。
一般的に棚の高さは60cmくらいが良いとされています。これは作業と観察がしやすい高さだからです。盆栽は日々の手入れの積み重ねで作っていくものですから、水やりの時によく観察できるようにご自身の環境にあった工夫をすることが必要です。
<注意> ベランダに棚を作る際は、強風などで鉢が転倒しないように、紐などで固定するようにしてください。
ベランダなど片側からしか日が差さない環境で植物を育てる場合は、数日おきに鉢の向きを変えるようにしてください。特に盆栽は樹形を作るものですから、前後左右がバランス良く日に当たるようにしましょう。
また、可能であれは少しでも夜露にあたる環境が望ましいので、庭がある方は軒の外へ、ベランダの方はできるだけ外側に置くようにしてください。
これは、植物の生長は夜露によって促される為です。どうしても夜露があたらない場所に置く時は、夕方の水やりの際に葉水もするようにしてください。
夏場と冬場で置き方は変わりますが、基本的に盆栽は一年中屋外で育てる事を前提にした方が無理が少ないと思います。寒さに弱い樹種を購入したら、その都度注意するくらいで良いのではないでしょうか。
ちなみに、モミジなど紅葉を楽しむものは夏場は寒冷紗などで日よけ方が無難です。
また、水を多めに与えると葉焼けは少ないようです。
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盆栽の水やり
盆栽を育てるうえで一番大切な作業は水やりです。
初心者が枯らす原因のほとんどは水やりが理由ではないでしょうか。
剪定や針金掛けを一生懸命に覚えても、水やりの仕方が悪いといつまで経っても盆栽と呼べる物にはなりません。最悪の場合は枯れてしまいます。
水やりの基本中の基本、鉄則は”乾いてから与える”です。
これはどんな植物についても言えることですが、盆栽は創り込むものですから、より細かい管理が必要です。
盆栽業界では「水やり3年」という言葉があるくらい難しいのです。
「乾いてから」とは、具体的にどんな状態かというと、表面は完全に乾いており、少し土を掘ると湿っている位の状態です。
(あくまで盆栽の場合です。最近流行りの多肉質の植物は鉢全体が乾くまで与えませんし、ランなどもミズゴケが乾くまでは与えない場合が多いです。逆にシダなどは少し乾いたらマメに水を与えます。)
また、植え替えしたてのものは、非常に良く乾くので少し回数を増やした方が、樹の傷みが少ないと思います。
水やりの目的は水分を与える事と同時に、鉢の中に酸素を送り込むことです。
ですから、鉢底から必ず水が何度か出てくるまでは水をあげることが大切です。
水圧で鉢の中の古い空気を押し出しているイメージで与えると失敗が少ない気します。
一度では足りないと思う鉢には、一通り与えてから、改めて追い水して下さい。
水やりは、盆栽の樹種やサイズ、植え替え年数、天気や季節によってその都度違います。
一番重要なことは一鉢一鉢をしっかりと日々観察しながら与えるという事です。ご自身の棚場の条件や盆栽の状態を把握して、独自の水やりのサイクルを見つける事が必要です。
また、水やりのタイミングは植物を見る良い時間になりますので剪定のタイミングや植え替えの時期、病害虫の有無などしっかりと確認すると良いと思います。
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それぞれの良さ
盆栽には盆栽の
草花には草花の
シダにはシダの
それぞれの良さを最大限引き出すには何が必要なんだろうか。
私たちの仕事は、当たり前にある自然を人の生活の中に上手に無理なく共生して行くきっかけをつくる事だと思っています。
現代の住宅事情を考慮すると屋外で管理が必要な盆栽などはどうしても敷居が高くなりがちです。部屋に置ける事、インテリアに合わせ易い事から観葉植物が主流となるのは必然だと思います。
そんな中、ヤオカプランツでは屋外で育てる植物を中心に扱っているのですが、中でもシダ類は一番丈夫かもしれません。水と太陽に気を付けているだけでどんどん育ちます。
ビロードシダ、マメヅタ、黄金シダ、シノブ
これはシダを適当に植えたものです。
まだ2年ほどしか経っておりませんが、どれも繁殖力は旺盛でいい感じにほったらかせたなと個人的には気に入っています。
シダは温帯にも熱帯にも生息していますが、日本で自生しているものは基本は屋外管理が良いのですが、たまに外に出したり風に当てることが可能であれば、室内でもそこそこ育てる事は可能です。また、奄美や沖縄原産のものは冬季は防寒します。
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名木に裏表なし
タイトルの言葉は盆栽業界では有名な言葉です。
最初にどなたがおっしゃたのかは不明ですが、盆栽の参考書を読むとこの言葉によく出会います。盆栽家から聞くこともしばしばです。
素晴らしい言葉だと思います。
盆栽は樹形一つひとつに名前がついています。
ざっくりと書いてみます。
直幹、模様木、斜幹、文人木、吹き流し、懸崖
双幹(二幹)、三幹、五幹、株立ち、根連なり、
石付き、寄せ植え
大まかにはこんなところだと思います。
名前でどんな樹形かイメージ出来るものもあれば、分からないものも有るのではないでしょうか。今後説明していきます。
そもそも盆栽は何を表現しているのでしょうか。
基本的には「大木を鉢の中で表現する事」とされています。
ですが、ただ自然の大木を小さくしただけの表現であれば、あれだけの緊張感は生まれないはずです。また名木盆栽のような樹が本当に自然にあるのかと問われれば、見つけるのは難しいのではないかとも思います。
盆栽というものは大木を表現しながらも盆栽家一人ひとりの心象風景のイメージを形にしていく行為であり、そこに芸術性を感じるのだと思います。
最初に言葉の「名木に裏表なし」ですが、実は盆栽の表はほとんどに方が裏側だと思っている方なのです。
園芸店や生花店などのスタッフでも間違えます。
理由は花束や草花のアレンジ鉢では当然、花の顔を正面に向けて作ります、観葉植物でもランでも葉や花が一番見えるところが正面です。しかし盆栽は葉が茂っている方が裏側になるのです。
盆栽の鑑賞ポイントは根張りから幹に行き各枝に移ります。最重要は根張りで、次に幹筋ですが、幹を鑑賞しようとすると当然、葉は裏側になってしまいます。また盆栽は正面に出ている枝はほとんどありません。
名木は、この前提の裏と表を踏まえつつもどこからでも鑑賞できる樹という事です。
私も盆栽を作るときはそれを意識して作っています。
また、種類にもよりますが盆栽の鑑賞は落葉期が本番と言われています。
葉の落ちた後の作りこまれた枝などを見るとその意味がよく分かります。
もちろんミニ盆栽などは新芽や紅葉を楽しんでいくものだと思いますので、すべてが盆栽の見方をする必要はないと思います。
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自然のまま
今日は私が単純に楽しんでいる植物をご紹介します。
一般的な山野草も植え替えの時などにちょっとした遊びを入れると、また違う表情を見せてくれます。
写真は雪割草とシダとミセバヤですが、廃材を合わせてあります。
ただ空き地を思い浮かべて作っただけなのですが、ちょっとした時に飾るには面白いと思います。
植物はデザインするとかしないとか、そういう領域のものではないと思うので、ただそのまま植物の美しさを感じ取れるような、そんなものをこれから作っていければと思っております。