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ボケ色
黄色いボケ。
あまり見かけない品種。黄雲。
こういう園芸品種は主に江戸時代から作出されはじめ、現在では200品種を超える数になっています。
中でも咲き分けの東洋錦は非常に見事です。
今年の国風展で出展されていた東洋錦。
時を重ねたものの凄みと新しく生まれてくる新芽の瑞々しさとの共存が盆栽の面白いところです。
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富士しだれ桜
満開。
あまりにも美しくて言葉を失った。
「いいものはいい」花を見る為には、春~冬までの適切な管理が必要になる訳ですが、ご褒美の花を毎年咲かせてくれるので、また一年間お世話をがんばれる。
ちなみに、桜の花を咲かせる一番のポイントは7月の日照です。
花が終わったら、リン酸分の多い肥料を与えてずっと日向に置いて管理します。
夏は肥料をまったく与えずに花芽分化を促進させて、冬の低温に当てる事で春に花を咲かせます。剪定は遅くとも5月までには済ませた方が安心です。
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湖上の舞 桜盆栽
桜の盆栽は沢山ありますが、中でも富士桜系の品種は小さく作り易いです。
これは湖上の舞という枝の関節が短く、細かく屈折するので雲竜性のような雰囲気があります。
富士桜は花も葉も他の桜よりも小さめ。
同じ樹種であっても、すべて個性に差があります。
毎回その個性との対話なしでは、植え替えも針金掛けも出来ない。また盆栽として優秀な樹を探して、見つけてくる事はできなくもないけれど、それはその樹のごく一部の側面であって、人間のわがままや好みにかなり偏った見方とも言える。
盆栽という枠には収まらない、一見扱いにくい樹の方が、素直に個性を感じる事も多い。
学んだ基準やノウハウにとらわれ過ぎない様に、よく考え、よく感じて、これからも盆栽を作って行きたい。
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土佐水木
春は花物盆栽の開花が続きます。
盆栽をつくりながら、悩んだり迷ったりすることは沢山ありますが、この時期だけはただただ見惚れてしまう。
この樹の軽く爽やかな空気感を残していく為に「つくり過ぎない」という自戒を持って取り組んでいます。
こういった盆栽をつくる時に大切な事は花や葉の「大きさ」「厚み」「色」「幹の太さや長さ」「全体の動き」から感じる「印象と空間」をつかみながら、この樹が最大限活きる「正面と角度」を探す事です。
針金掛けは全体の方向性を整える程度に軽くでいい。
この樹はもともと庭木として作られていたものですが、盆栽に仕立てる為に4年ほど前から手を入れています。
このまま細幹を極力維持できるように管理しながら、枝を作っていきます。
まだ完成には程遠いですが、少しずつ良くなっていくのは気持ちの良い時間です。
自分の感じることが、普遍的で美しいものかと自問自答しながら、どこまで「仕上げないか」そして、どこまでディテールを突き詰めていくかを、頭で考えるのではなく、感覚で感じながら作って行けるように心掛けるようにしています。
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優先順位
3月4月は一年でもっとも忙しい季節。
ほとんどの樹種で植え替えによる負担が一番少ない為、なによりも最優先で植え替えです。
一般的に雑木類を葉の展開前に終わらせて、その後松柏類に取り掛かります。
この五葉松は針金掛けの時間が取れずにしばらくお預けです。