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富士しだれ桜
満開。

あまりにも美しくて言葉を失った。
「いいものはいい」
花を見る為には、春~冬までの適切な管理が必要になる訳ですが、ご褒美の花を毎年咲かせてくれるので、また一年間お世話をがんばれる。
ちなみに、桜の花を咲かせる一番のポイントは7月の日照です。
花が終わったら、リン酸分の多い肥料を与えてずっと日向に置いて管理します。
夏は肥料をまったく与えずに花芽分化を促進させて、冬の低温に当てる事で春に花を咲かせます。剪定は遅くとも5月までには済ませた方が安心です。
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湖上の舞 桜盆栽
桜の盆栽は沢山ありますが、中でも富士桜系の品種は小さく作り易いです。

これは湖上の舞という枝の関節が短く、細かく屈折するので雲竜性のような雰囲気があります。
富士桜は花も葉も他の桜よりも小さめ。

同じ樹種であっても、すべて個性に差があります。
毎回その個性との対話なしでは、植え替えも針金掛けも出来ない。また盆栽として優秀な樹を探して、見つけてくる事はできなくもないけれど、それはその樹のごく一部の側面であって、人間のわがままや好みにかなり偏った見方とも言える。
盆栽という枠には収まらない、一見扱いにくい樹の方が、素直に個性を感じる事も多い。
学んだ基準やノウハウにとらわれ過ぎない様に、よく考え、よく感じて、これからも盆栽を作って行きたい。
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土佐水木
春は花物盆栽の開花が続きます。

盆栽をつくりながら、悩んだり迷ったりすることは沢山ありますが、この時期だけはただただ見惚れてしまう。

この樹の軽く爽やかな空気感を残していく為に「つくり過ぎない」という自戒を持って取り組んでいます。
こういった盆栽をつくる時に大切な事は花や葉の「大きさ」「厚み」「色」「幹の太さや長さ」「全体の動き」から感じる「印象と空間」をつかみながら、この樹が最大限活きる「正面と角度」を探す事です。
針金掛けは全体の方向性を整える程度に軽くでいい。
この樹はもともと庭木として作られていたものですが、盆栽に仕立てる為に4年ほど前から手を入れています。
このまま細幹を極力維持できるように管理しながら、枝を作っていきます。

まだ完成には程遠いですが、少しずつ良くなっていくのは気持ちの良い時間です。
自分の感じることが、普遍的で美しいものかと自問自答しながら、どこまで「仕上げないか」そして、どこまでディテールを突き詰めていくかを、頭で考えるのではなく、感覚で感じながら作って行けるように心掛けるようにしています。
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優先順位
3月4月は一年でもっとも忙しい季節。
ほとんどの樹種で植え替えによる負担が一番少ない為、なによりも最優先で植え替えです。
一般的に雑木類を葉の展開前に終わらせて、その後松柏類に取り掛かります。

この五葉松は針金掛けの時間が取れずにしばらくお預けです。
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用と美と

最近、改めて盆栽とは何かと考える機会がありました。
盆栽を語る時に比較する言葉として、「園芸」があります。
以前にもblogで書いた事がありますが、ざっくり言ってしまえば「人為」か「天為」かです。
厳密にはどちらも人為、天為の両方の性質がありますが、盆栽は植物における「人為」の追求で、園芸はどちらかといえば「天為」に近い感覚で植物を捉えています。
どちらが良い悪いという事ではなく、目的の違いです。
例えるなら、「工芸」と「美術」の違いに近いと思います。
工芸は生活を豊かにするもの、美術は心を満たすもの。
盆栽と園芸もなんとなく似ていると思っています。

植物との関係にこれが正解というモノはないと思いますが、ただ思うのは、盆栽という文化の中で仕事をしているからには、人が思いを込められる盆栽をどうせなら作りたいし、そういうモノの中で生きて行きたいと思います。