土佐水木
春は花物盆栽の開花が続きます。
盆栽をつくりながら、悩んだり迷ったりすることは沢山ありますが、この時期だけはただただ見惚れてしまう。
この樹の軽く爽やかな空気感を残していく為に「つくり過ぎない」という自戒を持って取り組んでいます。
こういった盆栽をつくる時に大切な事は花や葉の「大きさ」「厚み」「色」「幹の太さや長さ」「全体の動き」から感じる「印象と空間」をつかみながら、この樹が最大限活きる「正面と角度」を探す事です。
針金掛けは全体の方向性を整える程度に軽くでいい。
この樹はもともと庭木として作られていたものですが、盆栽に仕立てる為に4年ほど前から手を入れています。
このまま細幹を極力維持できるように管理しながら、枝を作っていきます。
まだ完成には程遠いですが、少しずつ良くなっていくのは気持ちの良い時間です。
自分の感じることが、普遍的で美しいものかと自問自答しながら、どこまで「仕上げないか」そして、どこまでディテールを突き詰めていくかを、頭で考えるのではなく、感覚で感じながら作って行けるように心掛けるようにしています。