松の芽切り 短葉法
盆栽には色々な技がありますが、重要な技術の一つに短葉法と呼ばれる方法があります。
今時期がちょうどその時なので、盆栽屋さんなどではせっせと松の芽を切っていると思います。
短葉法(一般的には芽切りと呼ばれています)とはどのような方法なのかと言いますと、漢字そのままですが葉を短くする方法です。
そもそもなぜ、葉を短くしなくてはならないのか?
松の中で黒松、赤松は春から秋までそのまま順調に生育すると、10cm以上も芽が伸びる事もあります。庭植えの松などでは30cm以上のものも見かけます。
当然、芽が長いと葉も長くなります。
盆栽は小さい樹形の中に大木を感じ取るものですから、全体のスケールから葉の長さは盆栽それぞれに自ずと決まってきます。しかし、黒松赤松は一年で樹形を崩してしまう程の生長を遂げますのでそれなりの技術が必要となる訳です。
芽切りの手順です。
7月前後(赤松は少し早め、黒松は7月上旬)を目安に松の新芽を元から切り取ります。その後、2番芽が芽吹きだしますので数芽残して欠き取ります。
10月上旬程までに短い葉が出揃う事になります。
作業はこれだけです。
しかし、これがなかなか難しいものなのです。
芽切りとはせっかく伸びた芽を強制的に取って、もう一度出させる事で短い葉にする方法です。松にとってはとても過酷な作業となります。
弱った樹を芽切りするとまず2番芽は出てきません。その結果、その枝が枯れたり、再来年まで芽切りが出来ない様な状態になってしまいます。
( 芽を切る際は一つひとつの芽を見て切る芽と残す芽を判断して下さい )
ですから一番大切なことは、まず樹勢をつけることです。
その為に黒松赤松は肥料を多めにして力を蓄えさせます。
肥料は春からはもちろんですが、前年の秋にもしっかりと与える事が大切です。
また、芽切り後は無肥で管理します。
しっかりと肥料を効かせる為には、樹が肥料を吸収できることが前提となりますので、一年を通して十分な日と風が当たる環境で管理します。
芽切り前
芽切り後
※短葉法が考案される前までは、水と肥料を少なくする事で葉を短くしていました。
今年は芽切りが出来ない樹などを冬に鑑賞する場合はこの方法で管理します。
また、五葉松などはもともと葉は短いので芽切りは行いません。
