名木に裏表なし
タイトルの言葉は盆栽業界では有名な言葉です。
最初にどなたがおっしゃたのかは不明ですが、盆栽の参考書を読むとこの言葉によく出会います。盆栽家から聞くこともしばしばです。
素晴らしい言葉だと思います。
盆栽は樹形一つひとつに名前がついています。
ざっくりと書いてみます。
直幹、模様木、斜幹、文人木、吹き流し、懸崖
双幹(二幹)、三幹、五幹、株立ち、根連なり、
石付き、寄せ植え
大まかにはこんなところだと思います。
名前でどんな樹形かイメージ出来るものもあれば、分からないものも有るのではないでしょうか。今後説明していきます。
そもそも盆栽は何を表現しているのでしょうか。
基本的には「大木を鉢の中で表現する事」とされています。
ですが、ただ自然の大木を小さくしただけの表現であれば、あれだけの緊張感は生まれないはずです。また名木盆栽のような樹が本当に自然にあるのかと問われれば、見つけるのは難しいのではないかとも思います。
盆栽というものは大木を表現しながらも盆栽家一人ひとりの心象風景のイメージを形にしていく行為であり、そこに芸術性を感じるのだと思います。
最初に言葉の「名木に裏表なし」ですが、実は盆栽の表はほとんどに方が裏側だと思っている方なのです。
園芸店や生花店などのスタッフでも間違えます。
理由は花束や草花のアレンジ鉢では当然、花の顔を正面に向けて作ります、観葉植物でもランでも葉や花が一番見えるところが正面です。しかし盆栽は葉が茂っている方が裏側になるのです。
盆栽の鑑賞ポイントは根張りから幹に行き各枝に移ります。最重要は根張りで、次に幹筋ですが、幹を鑑賞しようとすると当然、葉は裏側になってしまいます。また盆栽は正面に出ている枝はほとんどありません。
名木は、この前提の裏と表を踏まえつつもどこからでも鑑賞できる樹という事です。
私も盆栽を作るときはそれを意識して作っています。
また、種類にもよりますが盆栽の鑑賞は落葉期が本番と言われています。
葉の落ちた後の作りこまれた枝などを見るとその意味がよく分かります。
もちろんミニ盆栽などは新芽や紅葉を楽しんでいくものだと思いますので、すべてが盆栽の見方をする必要はないと思います。